日比谷タクミ 令和を生きるサラリーマンのための資産形成

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「サラリーマンが米国不動産に投資をするのは現実的かどうか?」を検証してみる

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こんにちは、日比谷タクミです。

現在、低金利の追い風に乗って成長してきた日本の不動産市場は先行き不安を抱えております。その中で特に高所得サラリーマンから関心を集めているのが、税効果を狙った米国不動産投資です。

今回は、

「サラリーマンが米国不動産に投資をするのは現実的かどうか?」を検証してみる

というテーマで書いていきたいと思います。不動産投資に興味の無い方も、税金のお勉強と思ってお付き合いくださいm(__)m

 

米国不動産投資がなぜ注目を集めるのか?

長期成長の蓋然性

株式投資でも最も安全、かつ資産形成の蓋然性が高い投資先は米国と言われます。

1、成長する株式市場
S&P500は世界で最も安全性の高い指標と言われており、ITバブル崩壊、リーマンショックなどを乗り越えつつ、長期で継続的な成長を実現しています。
2、経済規模の大きなGDPTop5か国で見ても、米国の1人当たりGDPは過去一巻して成長しており今後も成長が期待できます。
3、世界時価総額TOPのGAFAに代表されるIT、テクノロジーの分野で圧倒的なイニシアチブを取っており、今後も世界経済をリードしていく可能性が高い。

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今後も成長が続く米国

米国の人口は増え続ける

米国は先進国ながら人口成長が続いており、今後もそれが続く蓋然性が高いと言えます。圧倒的な人口数から内需拡大による経済成長は続きますが、中国は一人っ子政策の影響もあり既に人口減少期に入っています。一方で日本はもう悲惨、としか言えない状態まで人口が減少していきます。これだけでも経済成長の蓋然性が無いと言えるでしょう。

米国人口推移とForecast

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中国人口推移とForecast

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日本人口推移とForecast

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健全な人口ピラミッド

米国は移民であるヒスパニック系や黒人の出生率が高く、人口ピラミッドが非常に健全です。購買力・生産力が高い20代~30代の人口割合が一番大きく、今後老後を迎える40~50代の数を上回っています。

既に超高齢化社会に入っている日本、またその日本と同じ状況が訪れる中国とは対照的に、今後の経済成長を牽引する超健全な人口ピラミッドとなっています。不動産市場は人口と連動するため、今後も不動産市場の成長が見込まれます。

 

米国人口ピラミッド

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中国人口ピラミッド

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日本人口ピラミッド

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米国不動産投資のメリット

減価償却による節税効果

米国不動産は高額所得者、高収入サラリーマンに有利な投資と言え、逆に所得が低い人にはメリットが薄い投資と言えます。その理由は、

減価償却による節税効果が最大の特徴

だからです。

米国では中古住宅の寿命が長く、日本の住宅寿命は30年と言われるのに対して米国は100年と言われます。そのため中古住宅の流通量も多く、質も高いのが特徴です。

そのため、米国の住宅は日本よりも建物の評価割合が高くなります。日本の不動産評価の場合、ざっくり建物部分が20%、土地部分が80%という評価なりますが、米国ではその逆で

建物部分が80%、土地部分が20%という評価割合

になります。減価償却は建物部分にのみ適用されるので、ここがポイントです。

日本人(日本居住者)が米国不動産に投資をすると日本の減価償却ルールが適用され、中古の木造住宅の場合、日本の減価償却ルールにおいては法定耐用年数は22年です。

築30年以上の木造住宅を購入した場合、以下の計算式のように減価償却可能期間は4年となります。

耐用年数= 22年×20%=4.4=4年 ※小数点以下は切り捨てになる

 

税効果のシミュレーション

以下のケースを基に今回はシミュレーションをしみます。
(数字はあくまで概算 ※単位万円)

・給与からの課税所得は1000万円(年収1400~1500万弱)
・4000万円の築30年の中古住宅を購入
・家賃収入の手残り160万円(物件価格4000万×ネット利回り4%)

例えば、4000万円の中古住宅を購入した場合、日本の物件だと建物評価割合が20%の800万円なので、4年償却で年間減価償却費は200万円となります。一方で米国の物件の場合は建物評価割合が80%なので、年間減価償却費は800万円となります。

  土地評価額 建物評価額 年間減価償却額  
日本不動産 3200 800 200 ※減価償却期間4年
米国不動産 800 3200 800 ※減価償却期間4年


ご存知の通り、日本の所得税は累進課税となっており、高所得者であるほど高額になります。しかし、不動産投資での損失は、給与所得と損益通算ができます。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

給与からの課税所得1000万円
家賃収入160万円
減価償却費800万円

を計算すると、課税所得が360万円となり、この税効果によって納税額が211万円減ります。償却期間の4年で約844万円の節税効果が出るという計算となり、これが米国不動産投資における税効果となります。

  通常 米国不動産投資  
課税所得 1000 360 1000+160-800
所得税率 33% 20%  
控除額 154 43  
所得税 176 29  
住民税 100 36  
納税額 276 65  

※上記は概算で正確ではなく、あくまで税効果のイメージです。日比谷タクミは税理士ではないため、詳細は税理士の方にお尋ねください。

 

不動産価格が上昇基調でキャピタルゲインが狙える

ケースシラー住宅価格インデックスという全米の戸建て住宅価格の推移を表す指数を見ると、サブプライム問題とリーマンショックを乗り越え、過去30年で継続的な上昇を続けていることが分かります。

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※S&P/Case-Shiller 20-City Composite Home Price Index

不動産投資のキャッシュポイントの1つがキャピタルゲインですが、米国不動産はキャピタルゲインが狙える点もメリットの1つです。

注意が必要なのは、売却タイミングにおける課税です。不動産は5年以内に売却すると短期譲渡税として約40%が課税されます。しかし、5年を経過すると長期譲渡税となり約20%に落ちます。そのため、多くの方は6年目以降に売却します。

例えば6年後に買値より5%上昇した4200万円で売却する場合、減価償却により建物簿価はゼロとなるので、譲渡益は3400万円となります。

  6年保有  
買値 4000  
建物簿価 0 ※減価償却済
土地簿価 800  
売値 4200  
譲渡益 3400  
譲渡税率 20.32%  
課税額 691  

 

 

 

米国不動産投資は本当にお得なのか?

高額の節税メリットが取れる人のみが有利

まず1つ言えるのが、この米国不動産投資は超高年収の方しか十分なメリットを受けづらいということです。

日本で所得税・住民税合算の税率が55%に到達するような方であれば別ですが、ハッキリって年収1000万程度では、課税所得額が限られるため税効果が小さく、あまりメリットがないと思います。

長期保有メリットがない

表面利回りから管理手数料、固定資産税などがかかりますので、諸経費を引いた後の実質利回りを十分に取れないと、そもそも長期保有するメリットがありません。

現在、米国不動産は価格も上昇により利回りが低く管理費も高いため、インカムゲインが取りづらい状況にあります。そのため、減価償却メリットを受けた後に長期譲渡税が適用される6年~7年の保有期間で売却するのが一般的な出口です。

トータルリターンがさほど高くない

家賃収入・税効果・キャピタルゲインが全て出ても、譲渡税によりトータルリターンは押し下げられます。

上記のシミュレーションにおける6年間のトータルリターンは、

家賃収入960万+税効果844万 + キャピタルゲイン200万 - 売却時課税691万円 = トータルリターン1,313万円 

となり、だいたい年平均税後利回りは5.5%弱となります。

 

しかし、この税後リターンは購入・売却時諸費用や、借入のローン金利を含んでいません。これらを加えるとさらに利回りは落ちます。

自己資金が無いと厳しい

海外不動産でフルローンは基本的にまず無理で、最低30%程度の自己資金が必要になります。ローン設定可能な金融機関も限られているので、結構ハードルは高いです。

自己資金一括で投資できる方は別ですが、海外不動産用ローンは金利も高く、現地で借りると5%近くなり、国内でも3%以上はかかります。ただでさえ利回りが低いことを考慮すると、イールドギャップがマイナスになる可能性すらあります。

※イールドギャップ:実質利回り(ネット利回り) - ローン金利

税制が変更になるリスク 

このように富裕層による所得税の対策に活用されている米国不動産投資ですが、会計検査院も由々しき事態と考えているようで、既に問題視されているようです。今後、税制が改正されて、この減価償却による節税スキームが使えなくなるなどの可能性があるので、注意が必要です。

米国不動産投資を成功させるための条件

このように整理してきましたが、米国不動産投資で良いリターンを得るには以下のような条件が必要そうです。

・課税所得が高いこと
・長期保有可能な高利回りが物件を掴めること
・キャピタルゲインが見込める物件を掴めること
・自己資金が潤沢にあること
・優良なブローカー、管理会社と契約できること

ある程度条件が揃わないことには、同じ米国への投資で為替リスクを負うのであれば、高配当株を持っていた方が税後リターンが高くなる、というケースもありそうです。

そうなると、敢えてリスクを取ってまで米国不動産に投資をするメリットにならないと思います。

 

まとめ

色々と米国不動産投資について独自のシミュレーションで整理してみましたが、やはり普通のサラリーマンには現実的ではなさそうで、富裕層向けの節税策としてのみ機能しそうです。また、自己資金が潤沢にないとネット利回りが確保できず、大分厳しそうですね。

 

日比谷タクミも米国市場の成長の蓋然性は感じており、米国市場には株式、債券、REITなど様々な資産を持っているので、米国不動産投資については興味はありました。

しかし、自身の課税所得額では税効果メリットが大きくなく、

「同じ手元資金を突っ込むなら、AT&TやBTIを買っておいた方が利回りが良さそうだ」

という結論に至っています。

 

同じ為替リスクを負うのでもAT&Tに4000万円を突っ込んで、複利効果を利かせれば6年間で1224万円のリターンが出ます。さらに外国税額控除をすれば1300-1400万円のリターンになる訳です。

そうなると、別にわざわざ米国不動産に投資をする必要性を感じませんでした。

もしこちらの記事をご覧の方で米国不動産をお持ちの方がいれば、メリット、デメリットや実際の所などのご意見を聞いてみたいので、コメント等頂戴できると嬉しいです。

 

 

以上、今回も最後までお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m 

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